「もう離婚の意思は強いんです。なのに、何を相談すればいいの?」
離婚に関しての法律相談。
特に男性であるあなたは、「もう離婚することを決めたんだから、何も弁護士に相談することなんて特にないよ、弁護士なんて必要ないよ!」とお考えかもしれません。
でも、その考え方が、後々、後悔するかもしれません。
ご存じですか?
離婚の際の財産分与、慰謝料、養育費・・・。
統計によれば、当事者間で取り決めたはずのこれらの支払いが7割も未履行であることをご存じですか。
なぜ、支払うことができなくなってしまうのでしょうか?
なぜ、支払わなくなってしまうのでしょうか?
それは、離婚をするにあたって、当事者間で、いわば“適当に“決めてしまって、過度に多く支払うことになってしまったから。
計算根拠があいまいにもかかわらず、とにかく離婚したいと考えていたために、後々、その金額に納得できなくなってしまったから。
いろいろな理由があります。
しかし、この段階でご相談に来られても、多くは「今からではどうしようもありません。」という回答になってしまいます。
支払いには応じないといけない。
場合によっては公正証書を作成していることもあります。その場合には、直ちに給料の差押えも覚悟しなければなりません。
そうなってしまえば、もちろん仕事先に分かってしまって、会社から「これなんですか?」ということになりかねません。
もちろんそれだけで解雇されれば不当解雇として争えるでしょうが、職場にいずらくなって仕事を辞めてしまうというのは少なくないでしょう。
こうならないためにも、場合によっては、弁護士にご相談に来ていただきたいのです。
その、場合によっては、という判断基準が以下の3要素に分解してみてはどうでしょうか。
【相手に弁護士がいるかどうか】×【どんなタイミングであるか】×【相手がどんな主張をしているかどうか・主張の差】
このパターンによって、弁護士の要否が変わってくると考えています。
1 【相手に弁護士がいない場合】×【調停に至っていない時点】
まず、この場合は、かえってこちらも弁護士に依頼しないほうがいい場合もあります。
この段階で、弁護士をつけてしまうと相手がかたくなになってしまって、合意に応じなくなってしまうリスクがあります。
合意が成立しないことで、調停にもつれこむことになりますし(時間コスト)、のちのち弁護士費用が掛かることにもなってしまいます。
当事者間で話し合いができる段階では、弁護士に依頼する必要はないこと多いでしょう。
ただ、例外もあります。
相手が法外なことを言っている場合。相手の言い分に根拠があるかどうかは相談に来て確かめてほしいものです。
必ずしも弁護士に依頼する必要はありませんが、相手の主張に根拠があるかどうか、妥当な主張なのかは、法律相談で聞いてみた方がいいでしょう。
また、自分や相手が感情的になっている場合もご相談に来ていただければと思います。
そもそも話し合いができないのでは協議離婚はできません。話し合いには当事者間に最低限の信頼関係が必要です。
相手が話に応じてくれない、相手の顔も見たくない。こんなときは、弁護士に交渉を任せるべきではないかと考えます。
弁護士に依頼することで、相手方から見れば後出の3 のパターンに持ち込むことができ、相手方も弁護士に依頼するかもしれません。
双方が弁護士を代理人とすれば、最低限、交渉だけはできます。
(中には、おかしな弁護士に依頼することで、余計に話をこじらせることもありますが、それは相手方の弁護士の選び方の問題なのでどうしようもありません。)
2 【相手に弁護士がいない場合】×【調停に至った時点】
次に、この場合は、弁護士に依頼したほうがいい場合も多いでしょう。
別の記事でお話をしたように、男性側の離婚戦略としては、条件をネゴする場合には調停に持ち込むこと。
そうなると、その調停で、あなたの主張が調停委員に正しく理解されてもらえるかどうかが問題になってくるのです。
ここで肝心なのは、あなたのその主張と、相手方の主張にどれほどの開きがあるのか。
この判断(主張の差、食い違い)が、あなた自身できるでしょうか?
この判断が出来て、なおかつ、あなたの主張を調停で法的に適切にかつ論理的に述べることができるのであれば、弁護士は不要であると考えます。
他方で、この判断(主張の差、食い違い)ができない場合は、あなた自身が、この先、調停で理論的に主張を展開することができないとも予測されます。
こうなってくると、弁護士が代理人として入らなければ、調停委員としても困ってしまい、調停の進行すら難しくなってきます。
まずは、法律相談で、主張の差、食い違いが客観的に見て大きいのかどうか、相手の言い分が妥当なのかどうか、自分の言い分がどうなのかを、弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。
3 【相手に弁護士がいる場合】×【調停に至っていない時点】
4 【相手に弁護士がいる場合】×【調停に至った時点】
最後に、これら(3・4)の場合は、あなた自身にも弁護士に依頼したほうがいい場合がほとんどであると考えます。
あなた1人で、立ち向かうことはできますか?
法律相談では、その弁護士があなたにとってのよき理解者であるのかどうかを、なんとなくといった感覚的なものでもいいので、あなたが判断してください。それが弁護士との相性といものです。
離婚では、プライバシーの極限とも言うべき私的領域のことを微に入り細に入り事情聴取することになります。
相性が悪ければ、安心してすべての事項を話すことができないでしょう。
そうすると、なんとなく気まずくて話していない場合、たとえ隠していても、いずれ相手方から暴かれます。
相手方から不利な事情がでてくるときのダメージは、依頼された弁護士にとってももはや挽回できないことも少なくありません。
真摯な弁護士であれば、依頼人に騙された場合には、もはや信頼関係が失われたとして辞任することもあります。
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