自己破産による生活の建て直し
「最近、破産は増えているんですか?」
この質問をよく受けますが、
統計的な分析はともかく、実感としては
1 法人を含む事業者の破産ではコロナ融資の返済という理由で破産の件数が増えている
2 事業者ではない個人の破産は、以前とあまり差がない
気がします。
下関の裁判所の事件数からみると、件数は若干増えているようですが、コロナ禍でいったん減少した件数が徐々に戻ってきているような感じです。
今回は、個人の破産、とりわけ消費者破産についてお話しします。
裁判所が見ているのは「なぜ破産したか」より「この先どうするか」
個人の破産では、借金を返さないでよい=免責が得られるか が一番重要になります。
法律上は、裁判所は免責不許可事由がなければ免責許可の決定をする(破産法252条1項)となっています。
そして、免責不許可事由があっても、裁判所は、一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは免責を許可することができる(同条2項)、とされています。
多数の案件に関与する中で、消費者破産で裁判所が一番重視するのは、
今後、同じ状況を繰り返さないか
家計は改善されているか
生活は立て直せる状態か
といった、「再建の見込み」をかなり具体的に見られると感じています。
家計収支表についても、
固定費(保険料、携帯電話代、食費、嗜好品代ほか)が多すぎないか
支出の内容は合理的か
収入とのバランスは取れているか
など、免責前に細かく指摘されることも珍しくありません。
では、どういう人が消費者破産に至っているのか
ここで、「消費者破産をする人の特徴」を整理しておきます。
最近は、いわゆる浪費型、つまりギャンブルや贅沢品を買ってしまうという理由でで自己破産に至るというより、
支出が収入を上回り、不足する生活費を借入でまかなった結果、その借入を返済するために借金を重ね、その借金を返済するために別の借金をつくり・・・と雪だるま式に債務が膨れ上がる多重債務状態に陥る“家計構造の破綻”があります。
①小さな固定費が積み重なって家計が崩れるケース
最近の家計では、
携帯電話料金(携帯電話料金と合算して請求される物品の購入費用を含む)
サブスクリプションサービス
月額課金
アプリ利用料
各種会費
といった小額の固定費が多くなっています。
一つ一つは大きな支出ではなく、
本人にも「借金をしている」「無理をしている」という感覚がありません。
しかし、こうした固定費が複数重なると、
毎月の可処分所得が圧迫され
生活費がカードに依存し
気づいたときには返済が追いつかない
という状態になります。
②クレジットカード・後払い決済に依存した結果、債務が見えなくなるケース
最近のご相談で多く感じるのが、
クレジットカード
リボ払い
分割払い
残クレ
おまとめローン・多重債務
後払い決済
を日常的に使い、
月々の支払額は何とか払えている
しかし元本は減らないケースです
この状態が続くと、やがて債務の借入限度額に達し、新たな借金もできなくなります。
収入が少し落ちただけで、一気に破綻します。
これは浪費というより、
「借金が見えにくい仕組み」による問題の先送りの結果、債務が膨らみ、家計の破綻につながります。
③消費者トラブルがきっかけで借金が膨らむケース
消費者破産の背景として、
高額な契約
解約できないサービス
強引な勧誘
不安を煽る商法
が引き金になっているケースも散見されます。
こうした契約を、
クレジット
ローン
で支払った結果、
返済不能に陥るという流れです。
原契約に問題があっても、クレジット会社を通すことで、当然には原契約の違法性を理由にクレジット会社に対する支払を拒否できるとは限りません。
このような場合、
消費者生活センターへの相談と併せて、消費者被害として問題が解決できればいいですが、
それで片付かない場合には債務の支払を免れるために自己破産を余儀なくされる場合もあります。
④住宅ローンが絡んでくるケース
また、住宅ローンを組んでいて(そもそも住宅価格や返済額の高騰)、
そこに例えば離婚が重なる場合もあります。
夫婦2人の収入を合算した家計で支払っていた返済額を今度は1人で返済していくこととなります。
さらには子どもがいれば養育費の支払いも追加されてしまいます。
こうなると、毎月の収入・貯蓄では支払っていけないというものです。
不動産を売却しても、大体の場合にはオーバーローンとなっていて、債務だけが残ってしまいます。
そうなると自己破産につながります。
だからこそ、消費者破産では「家計の整理」が核心になる
消費者破産は、
「借金を帳消しにする手続き」ではありますが、
「生活を再建する手続き」ととらえなおしていただきたいと思います。
裁判所対応としても、
どこをどう改善したのか
今後どうやって生活を回すのか
これを整理し、説明できる形にする役割が重要になります。
弁護士は「破産の代行」だけではなく「整理役・旗振り役」
個人破産では、
書類を作る
申立てをする
だけでは足りません。
・原因の把握
・対処策の検討(家計の見直し)
・計画通りにいっているかのチェック
こうしたサポート役が必要になります。
当事務所では、そのようなお手伝いをさせていただきたいと心がけています。
そのチェックに細かいサポートが必要な方は
消費者破産は増えてはいないものの、減ってもいないようです。
時代は変わっても、経済生活の再建が必要なことは同じです。
破産は終わりではありません。
次の生活を安定させるための手続きです。
このようなきめ細やかなサポートをしていけるよう心がけたいと考えています。
どうぞセカンドオピニオン、サードオピニオンでも結構ですのでご相談してみてください。
当事務所では借金問題(多重債務、自己破産、債務整理、過払金)に関しては、
ご相談料は頂いていません。
お早めにご相談されてください。


