ギャンブル・浪費でもう自己破産しかないと思ったらどの弁護士に相談すればいい?
ギャンブル・浪費では、自己破産ができない、と聞いたことがある方も多いでしょう。
だからと言って、他の消費者金融やヤミ金から借り入れを繰り返しても事態は好転しません。余計に泥沼にはまるだけです。
そんな中でも、ギャンブルであっても自己破産ができる場合があります。
破産者としては、免責を得られるために手続きを進めていくことになりますが、
わずかながら、2%以下の確率ではありますが、免責を得られないケースもあります(2020年日本弁護士連合会 破産事件及び個人再生事件記録調査より)。
免責を得られるように手続きを進めていくこと。ここをしっかりサポートできるかどうか。実務家としての経験がモノをいうことになります。
目次
免責って何?
免責できない場合
破産で問題になる場合
では、ギャンブルや浪費で破産状態になった場合は免責できないの?
では、どんな弁護士にお願いすればいいの?
免責って何?
「ギャンブルで自己破産ができない」というのは正確な表現ではありません。ギャンブルであろうがなかろうが支払不能状態にあれば破産手続開始決定は出ます。
しかし,免責不許可事由に該当するため免責が得られません。
免責許可決定がなされると,債務を支払う義務を免れます。個人が自己破産する理由は免責を得るためなので,破産する意味がないというのが正確な表現です。
免責されない場合?
では、免責されない場合とはどんな場合でしょうか?
通常,破産申立と同時に免責許可申立てをします。
免責許可申立てがあると,裁判所は,免責不許可事由がない場合には免責許可の決定をします。
したがって、免責ができない場合とは、免責不許可事由がある場合ということです。
免責不許可事由があるかどうかが重要なわけです。
免責不許可事由は,法律上11個挙げられています。
①破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと
②破産手続の開始を遅らせる目的で,不当に債務を負担したこと
③特定の債権者に利益を与える目的で特定の債権者にのみ債務を返済したこと
④浪費,賭博で借金の返済ができなくなったこと
⑤詐術を用いて信用取引をしたこと
⑥帳簿等を隠滅したこと
⑦虚偽の債権者名簿を提出したこと
⑧破産手続において,裁判所の調査に協力しないこと
⑨破産管財人の職務を妨害したこと
⑩過去7年以内に免責をうけていないこと
通常の自己破産のケースでよく問題となるのは,③と④です。
④浪費,賭博で借金の返済ができなくなったこと
まず、④について。浪費や賭博で遊んでおいて,破産して債務を免れようというのは虫が良すぎる話だという点で,理解しやすいでしょう。
下関での経験上,パチンコ,競艇といったギャンブルや,自動車改造費用,クラブ等での飲み代が浪費にあたるとして免責不許可になることをしばしば目にしてきました。
また、最近では仮想通貨やFXに関しても、④にあたるとされるケースが見られます。
③特定の債権者に利益を与える目的で特定の債権者にのみ債務を返済したこと(偏頗弁済)
破産しようという事態になっている場合,銀行は言うに及ばず,消費者金融ももはや貸してくれない状態になっていることが多いとおもいます。
そこで,親族からお金を借りて,他の債権者に返済を続けてきている場合をしばしばみかけます。やがて親族も貸してくれなくなり,他の債権者の返済にまわるようなお金はないものの,親族にだけは迷惑をかけられないといって,親族にだけ借金の返済をするようなケースです。
他には,取立てが厳しい債権者にだけ返済をしているケースも見られます。
「親族にだけは迷惑をかけられない。」という状態に陥る前に弁護士にご相談ください。
もしそのような状態になってしまった場合には,親族によく説明して破産債権者として裁判所での破産手続によって免責を受けますが,破産手続がすべて完了した後,迷惑をかけられない債権者にだけ返済をすることは可能です。
もっとも,そのようなことをすると,また借金に借金を重ねる事態(勤務先から前借、親族から借りる)になる可能性が高く,また借金地獄に戻ってしまう可能性が高いので,よく弁護士と相談して下さい。
では、ギャンブルや浪費で破産状態になった場合は免責できないの?
もし,ギャンブルや浪費で破産状態になった場合,どうすれば良いのでしょうか。
1つは,破産せず,任意整理や民事再生という形で,少しずつ返済していくことです。
もう1つは,「ダメ元」で自己破産を申し立てて,裁判所による裁量免責(破産法152条2項)のチャンスに賭けることです。
裁量免責とは,免責不許可事由がある場合であっても,裁判所は,一切の事情を考慮して免責をすることができるという制度です。
この場合,免責が得られるかどうかは裁判所の裁量(さじ加減)になります。
債権者がどのような対応をするのかによっても裁判所の態度が大きく変わりますので,不義理をする債権者とはあまりにも険悪な関係になってからだと厳しい結論になるかもしれません。
裁量免責を獲得するため裁判所をどのように説得するかが重要です。
では、どんな弁護士にお願いすればいいの?
裁判所は、「もう二度とこの人は破産するような事態に陥らないかどうか?」を見ます。
その第一歩は,なぜ破産状態に陥ったのかの原因を破産者自身が認識し分析することです。
次に,過去の生活を反省し,将来に向けて問題点を除去することが重要です。
その上で,その原因を除去できれば生活再建ができるのか,具体的にどれだけ収入・支出が改善したかを見ます。
生活再建ができなければ,いくら反省しても無意味ですから,生活再建=収支の改善が最重要です。
当事務所では、破産の依頼者に対し,生活再建指導・アドバイスを行います。
具体的には,通帳を見ながら家計の収支のアドバイスをしたり、家計簿を一緒に作成したり、スマホや保険の見直し、車の代替え提案、就職状況のヒアリング等・・・。
生活再建を具体的にサポートして、再建可能性を一緒に高め,裁量免責が得られるよう依頼者に伴走するのも代理人の仕事のうちでしょう。
法律上一度破産をすると,次の7年間は免責を得られません。
ですので、この生活再建がいかに具体的に実現可能なのかが、今後の人生のやり直しのためにも大変重要になってきます。
その意味で、ギャンブルで自己破産しかないと思ったあなた。
しっかりと今後の生活再建策を話し合える弁護士にご相談されてみてください。