飲食店の店じまい
新型コロナウイルスの流行、それに伴うお客様の生活習慣の変化、宴会・二次会需要の蒸発,そしてダメ押しのような円高に伴う仕入れコストの高騰・・・。
飲食店をめぐる外部環境はこれまでにないとても厳しくなっています。
そんな中で、当事務所に店じまい・閉店のご相談をいただくこともあります。
今回は、飲食店経営者に忘れないでおいていただきたい、店じまいについて考えておくべきことについてお話しできたらと思います。
店じまいにもいろいろ
まず店じまいといっても、様々な種類があります。
お店をたたむ閉店、お店を継続していても一時的にお休みする休業もありますが、ここでは、金銭的な理由で事業を継続できなくなった場合についてみていきます。
店じまいに必要な資金
店じまいに資金が必要?と思われるかもしれませんが、
私たちが目指す店じまいは、“夜逃げ”といったものではなく、次のステージへと進むための店じまいです。
家族や従業員、債権者などの関係者をできる限り守りつつ,自分の生活も立て直さなければなりません。
つまり、店じまいは決して飲食店のオーナーの人生の終わりではないということです。
ここからまた次のステージが始まるのだということです。
次のステップを、ご家族と歩みだすスタートラインなのです。
そう考えると、次のステップを踏み出すという観点から、店じまいの費用を考えるべきだということになります。
開業するのにもまとまったお金が必要だったのですから,店じまいするにもある程度まとまったお金が必要になることはおかしなことではないとも考えられませんか?
具体的には、100万円~200万円程度のまとまったお金が必要になります。
たとえば、法人と個人の場合でも違いますが、下関エリアで当事務所で破産をする場合,
(ア)法人破産
・裁判所予納金40万円~
・官報広告費用・印紙代約2万円
・申立のための弁護士費用44万円~
(イ)個人の破産・
・裁判所予納金20万円~
・官報広告費用・印紙代約2万円
・申立のための弁護士費用33万円~
が最低限必要です。
経営者が法人の債務を連帯保証している場合には,(ア)と(イ)が同時に必要になってきます。
その他に、在庫や設備の処分費用、賃貸物件の原状回復工事費などを含めると、場合によってはもっと必要になってくる場合もあります。
店じまいをためらわないで
中には、破産をしてしまうと経営者がブラックリストに載ってしまう、経営者も破産してしまうし、親族にも迷惑をかけてしまうということを理由に、店じまいをためらう経営者もいらっしゃると思います。
しかし、会社(お店が法人の場合)が破産しても、経営者まで破産しなくてもいい場合があります。
それが平成26年2月から適用されている「経営者保証に関するガイドライン」です。
・法人と経営者の関係の明確な区分・分離
・財務基盤の強化
・経営の透明性
といった最低条件に加えて一定の要件を充たせば,店じまいによって清算する場合にもガイドラインの適用により、経営者の保証債務が免除されたり、一定期間の生計費や自宅について確保できる場合があります。
自宅や一定の現預金は残り、経営者の生活再建、すなわち次のステップは十分に確保される場合があります。
仮にガイドラインが使えなくても,破産をして免責が認められれば債務の返済から法的に免れることができますから,夜逃げをして家族の人生まで壊す必要もないのです。
だからこそ、店じまいをためらわないでほしいのです。
誠実な説明と迅速な対応を
ただし、それも、保証人である経営者が「早期に」店じまいの決断を行い、一定の経済合理性が認められる場合という条件付きです。
一定の経済合理性とは、大雑把に言うと破産する場合よりも債権者に対する弁済額が多くなること(清算価値保障原則)。
ずるずると赤字経営を続けるよりも,すぱっと現時点で店じまいした方が債権者に弁済できるお金が多くなるということです。
だからこそ、店じまいを考え始めた経営者さんには、いち早く、今後の事業の見通しを立てていただいて、そのうえで早期に次の一手に出てほしいところなのですね。
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