家族で相続対策の話題って難しいですよね
たとえば、お盆に家族が実家に各地から帰省をしてくるなかで、
相続対策の話は、
せっかく家族がそろったからといって話題にしにくいものです。
孫もそろう中で家族団らんの中、
「こんなこと聞いたらせっかくの雰囲気を壊してしまうのではないか…」など、
心配になるものです。
話題の持っていきかたを間違ってしまえば、
「何を考えているんだ!」と親子関係を壊しかねないものです。
弁護士が教える「親を怒らせない、相続の切り出し方」
といっても、もちろんその時の親御さんの体調等にも左右されるものです。
経験的に、こんな伝え方なら、
過去にうまくいった方が多いですよ、というお話です。
と、そのまえに。
そもそも、なぜ両者の間に感情の対立が起きてしまうのでしょう。
いろいろな説が言われていますが、はっきりした理由は分からないようです。
親が相続の話題を好まない理由
① 「死」を想起させられる嫌悪感
相続の話は、ほぼ必ず「自分が死んだ後」を前提にしていますので、
たとえ健康でも、自分の死を話題にされると、
「まだ元気なのに、何を言うか」という反発が出やすいものなのです。
日本人が古来から無意識に感じている言霊信仰の影響があるとも言われています。
② 財産を“自分の自由”と考えているプライド
また、この財産は自分が築いたもの、もしくは親から受け継いだもので、自分がどう使おうと自由という思いが強いのでしょう。
「自分が生きているうちから、指図されるいわれはない」という反発がおきやすいものです。
それはその通りです。家族であっても財産は別々に所有しています。
そのうえ、もともと日本人は自分の財産を他人に見られるのを
好まないというのもあるようです。
お年玉をあげる・孫の学費を支払ってあげる、のとは違って、
自分のコントロール権を奪われるような感覚があるのでしょう。
たとえ親子であっても究極的には別人格ですからね。
そもそも親にとっては、財産=自分の人生の証。
それに対して子にとっては、(相続)財産=これからの将来の生活設計に直結する資源です。
将来への期待があるわけです。
財産に対する両者の価値観のズレが反発につながることは容易に想像できます。
③ 「子が財産を狙っている」という猜疑心や寂しさ
また、これはあまりないでしょうが、とくに認知が少し始まったような方であれば、「カネ目当てか?」という被害的解釈をするような感情に陥ることもあるでしょう。
特に認知症の入り口にある場合には、被害妄想的な受取方をされるかもしれません。
そこまででなくても、親の存在価値が財産に置き換えられたような寂しさを感じるというのもありそうです。
④ 「家族の揉め事」の火種にしたくない
財産分けの話をすると兄弟姉妹間の不満や対立を呼び込みやすいと感じていらっしゃるというのもあるでしょう。
家族がぎくしゃくするのでは、と家族を想ってのお気持ちもあることをお忘れなくいただきたいものです。
自分の家族は絶対に争いにならない、と頭から信じ込んでいる場合もあります。
ただ、弁護士からすれば、冷たい言い方になるかもしれませんが、それは信じているのではなく、願望に過ぎないでしょう。
ここでは、家族単位で考える親と、どちらかというと個人の生活を単位に考える子ということで、世代間の人生観のズレもありそうです。
⑤ 手続きが面倒
その他にも、やっかいなことはまだ先でいい、とお考えの親御さんもいらっしゃると思います。
実際は、遺言を書くのも、簡単なものであれば30分でできる場合もあるのですが、
やっかいなイメージもあるのでしょう。
ここでは、先送りしたい親と、早めに解決したい子。ここでもズレてきます。
では、どう伝えるのがいいか?
①きっかけはニュースや他人事から入る
・「〇〇さんのところで相続でもめたって聞いたよ」
・「最近、相続税が変わるってニュースで見たんだけど」
過去には、このように新聞やニュースを見てご相談にこられたという方がいらっしゃいます。
ニュースで有名人の案件があってもまだ遠いことと感じるかもしれませんが、
身近な人がとんでもない争いに巻き込まれて苦労したという実体験は、非常に強い説得力があります。
②起業がきっかけに
また、子どもが独立して会社を起業した際にも話が進みやすいというのはよく聞きます。
ちょうどよいきっかけになるでしょう。お金の話をしてもおかしくないタイミングですしね。
③先行する相続での経験
本人(親)が先の兄弟の相続で困った経験があるケースも、
ご相談のきっかけとなったということです。
早めに対策をしておかなかったために、
相続人全員を探すのにとても時間と費用がかかったというものです。
こんな思いをもう子どもたちにはさせたくない、ということですね。
子どもから、親へはうまくいかない
これらに対して、子どもから親へ上手に切り出したというケースは、
私が見聞きするところでは、うまくいったという話はほとんど耳にしません。
基本的に子どもからの切り出し方は、うまくいったケースを聞かないのです。
子どもが切り出しても、なんだかんだと話をはぐらかされたり、機嫌が悪くなりそうなのでそれ以上深入りできなかったりという結末を聞くことが多いように感じられます。
ということで、
「親を怒らせない、相続の切り出し方」ということの回答としては、
ストレートにではなく、①②③のようなケースをもって切り出していく、ということになります。
①③のようなケースは、実は親御さんにもあるはずです。
そこを具体的にどう切り出していくか。
場合によっては、親御さんを連れて当事務所に一緒にご相談にこられてもかまいません。
必要に応じて席を外していただくこともあるかもしれませんが、みんなのためになるのがどの方法か、一緒に糸口を探っていきましょう。


