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片山法律事務所

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誰も住まなくなった実家。空き家を管理しないと責任を問われる?  

住宅のトラブル

 

お隣の家に誰も住まなくなってからというもの……。

崩れかけの塀や、道路にはみ出した樹木に困っている、というご相談はよくみかけます。

 

 

近年、日本全国で空き家が増加し、社会問題になっています。

新聞やニュースでも頻繁に目にします。

ご家族が亡くなられ、相続人が遠方に住んでいるケースでは、管理が行き届かず、近隣トラブルにつながることも少なくありません。

当事務所でも、相続人は下関在住ですが親族が亡くなって不動産が中部地方にあるという事案も記憶にありますし、山陰に不動産があるという事案も、近畿地方の過疎地に不動産があるという事案もありました。

 

しかし、「邪魔だから」といって近隣の方が勝手に樹木を切ったり塀を壊したりすることは、不法行為として損害賠償請求されるおそれがあります

 

ただし、竹木に関しては、例外的に、

・竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。

・竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

・急迫の事情があるとき。

 

これらの事情があるときは、土地の所有者であればその枝を切断することができるということにはなっています(民法2333項)。

以前は地面から生えてきた竹木は伐採して良いが、空から越境してきた枝は切除してはいけないと覚えたものですが、民法が改正されています。

 

ただ、所在を知るためにどこまで土地所有者として調査しなければならないのか、など現実的にはすぐには切断できるものではありません。

 

またブロック塀は竹木ではないので伐採はできません

所有権に基づく妨害予防請求権はありますが、勝手にブロック塀を撤去することは自力救済として違法になりかねません 

 

さらには、自動車の通行に邪魔だからといって、その先が公道である場合は、自分では切断できません。

道路を管理する国、県、市町村が動く必要があります。

 

ましてや、瓦や家屋本体である場合には、どうしようもありません。原則に戻り、所有者に対してなんとかするよう請求することになります。

 

では、誰も住んでいない実家は、一体誰が管理責任を負うのでしょうか?

相続を放棄さえすれば、管理責任は負わないのでしょうか?

 

相続放棄したとしても、場合によっては空き家の管理責任がある(民法940条)

 

民法940条では、相続の放棄をした者でも、「その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは」、管理責任があると規定しています。

 

ここで注意が必要なのは――

もし相続人の一人が善意で草刈りや窓開けなどを行っていると、その人は「占有管理者」として扱われる可能性がある、という点です。

 

「遠方の兄弟の代わりに自分が草刈りしてあげているのに、責任まで負うのか」

たしかに善意がかえって重荷になってしまうようで不合理な気もしますが、「いったん管理を始めた以上は最後まで責任をもってください」というのは「危険の引受け」等の理論があって、法律の基本的な考え方です。

 

相続人らに対して当該財産を引き渡すまでの間は、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を管理しないといけないということなのです。

 

その他にも手立ては?

 

まず、不動産を含めすべての相続財産を放棄すれば、管理義務から解放されます。

ただし、他の財産(預金など)も放棄することになる点に注意が必要です。

 

 

また、相続放棄をして、特定の財産だけを、相続財産管理人を選任してその相続財産管理人から買い戻すという方法もあります。

そうなれば、空き家の管理責任を問われることはなくなるのですが、

これには相続財産管理人の選任コストや、売買代金などのコストがかかってきます。

 

もちろん、相続したうえで、その空き家を処分するという選択肢もあります。

ただし、処分にはコストがかかりますし、処分完了までは所有者として管理責任を負うことにはなります。

 

あるいは、その空き家を解体して更地にするという選択肢もありますが、

解体費用が掛かりますし、土地によっては解体工事用の重機が入らずに、解体費用がさらに高額になってしまうこともあります。

 

 

また自治体による空き家の仲介サービス(売買・賃貸)があるところもあります。解体の補助金が出る区域もあります。しかし、通常はいったん全額を支出した後で、費用の一部のみ数ヶ月後に自治体からお金が返ってくる、というレベルです。手出しは免れません。

 

民間によっては、空き家の管理サービスを行っているところもありますが、もちろん有償のサービスです。

 

決め手となる制度がない

 

とはいえ、これらの制度も実際の活用となれば、コストがかかったり、非常に手続きが面倒であったりするもので、それゆえに、相続人が空き家として放置してしまうのです。

 

やはり、ご存命なうちに所有者自身がその先まで決めるのが一番なのです。

 

 

まとめ

 

空き家は、放置しておくと近隣への迷惑だけでなく、相続人自身が責任を問われるリスクがあります。

 

「誰も住んでいないから大丈夫」ではなく、

「誰も住んでいないからこそ、法的に整理しておくこと」が大切です。

 

そのためにも、相続人であるお子さん達がこれらの責任を負う前に、早めに弁護士に相談し、相続対策をすすめていきましょう。

 

空き家管理や相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。