「正しい答え」が、「良い解決」とは限らない。
最近は、AIで法律問題を調べる方が増えました。
契約書を作る。
遺言書の文案を考える。
就業規則をネットを見ながら整える。
弁護士も人間ですから、能力的にも時間的にも限界があります。
どんなに優秀な弁護士でも知らない判例はありますし、知らない法律もあるはずです。
すべての判例、すべての法令を頭に入れている人間はいないでしょう。
その意味で、ネットに公開されている情報全てを瞬時に参照できるAIに人間がかなうわけがありません。
実際、AIはかなり便利です。
一般的な法律知識を知るだけなら、かなり正確な答えが返ってきます。
ただ、実際に法律相談を受けていて感じるのは、
「正しい答え」と「良い解決」は違うということです。
相続や離婚はとくに「正しさ」だけではない。
法律上の答えだけなら、ある程度見えることがあります。
しかし現実には、
- もつれた家族関係
- 恨み、憎しみなどの感情
- 過去の経緯
- 家族以外の人の関わり
が絡みます。
そして多くの場合、
相続や離婚は「法律」ではなく「感情」でこじれます。
AIは、入力された情報に対して、論理的な答えを返してくれます。
でも、
- 本人が本当に望んでいること
- どこで折り合いをつけるべきか
- 何を優先して守るべきか
までは、簡単ではありません。
おそらく、AIが進化して、質問を正確に投げかけることができれば、相当よい回答は返ってくるかとは思います。
しかし、質問を正確に投げかけるのも簡単ではありません。
そして、これは弁護士でも同じです。
弁護士に相談したからといって、必ず良い解決になるわけではありません。
実際、当事者の気持ちをそのまま弁護士が代弁するだけでは、何も解決しないのです。
相談者からすると、
「よく言ってくれた」
「自分の味方になってくれた」
と感じるので、満足感やクチコミの点数は高いかもしれません。
しかし、実際には、
落としどころがズレることもあり、解決が遠のくこともあります。
紛争は人と人との間で起こることであり、必ず相手があることです。自分がいくら正しいことを言ったとしても、問題が解決するとは限りません。
だからこそ、私は、法律相談に関しては、一つの事務所だけで決めない方がいいと思っています。
ましてや、クチコミを信頼しないこと。
何件か相談してみる。
実際に話してみる。
そして、
- この人は話を聞いてくれるか
- 現実的な解決を考えているか
- 時には、自分の意見と違う指摘もしてくれるか
- その上で自分に合うか
を見てほしいのです。
AI時代になっても、最後に必要なのは、
「あなたのこの場合は、どうするか」を考えることだと思います。
法律問題は、一般論だけでは終わりません。
人間関係、感情、将来。
そこまで含めて整理する。
そこに、まだ人が関わる意味があると感じています。


