相続放棄をしたほうがいい?~借金や負債があるときの判断基準
親族が亡くなったあと、遺産に借金や税金などの「負の遺産」が含まれているケースは少なくありません。
中には、「全然知らない市町村から突然、納税通知が届いたけどどうすればいいのでしょう?」という相談も実際にあります。
今回は、「相続放棄をすべきかどうか」「放棄したあとの注意点」について、弁護士の立場からわかりやすく解説します。
1.相続放棄とは?
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の財産を一切相続しないという手続きです。
プラスの財産(預金・不動産など)も、マイナスの財産(借金・税金など)もすべて引き継ぎません。
家庭裁判所に相続放棄の申述受理申立書を提出して受理されれば、最初から相続人でなかったものとみなされます。
2.こんなときは「相続放棄」を検討すべき
次のようなケースでは、相続放棄を積極的に検討する価値があります。
・親族に多額の借金があるらしい
・消費者金融・クレジット会社などから請求が届いた
・税金(住民税・固定資産税など)の滞納がある
・事業をしていた人の債務が残っている
・不動産の価値よりも借金の方が多い
このような場合、相続放棄によって債務を引き継がずに済みます。
ただし、相続放棄の手続きには期限があり、「相続を知ってから3か月以内」に行う必要があります。
3.「時効」で解決できるケースはある?
「放棄しなくても、時効で消えるのでは?」というご相談も多くあります。
確かに、
消費者金融などの借金は5年
税金は5年(ただし延滞時には延長あり)
といった消滅時効の規定がありますが、
実際には、被相続人が生前に支払いや交渉をしていた場合、時効が中断していることも多く、「時効だから安心」とは言えません。
念のため相続放棄をしておいた方が良い場合もあります。
また、時効を主張するには、債権者からの請求を受けて自ら「時効援用」の手続きを行う必要があります。
通常は、内容証明郵便で時効援用通知を行います。
4.相続放棄をしたあとの注意点
相続放棄をしても、いくつかの注意点があります。
・家庭裁判所で放棄が受理されるまでは、遺産に手を付けないこと
⇒遺産の処分をすると、放棄が認められない可能性あり=単純承認したとみなされる可能性がある
・放棄後も届く請求書には、相続放棄の申述受理証明書の写しを添付して支払を拒絶する旨の通知をする
・放棄しても次順位の相続人(被相続人の兄弟姉妹、甥姪など)に負債が回る場合がある
手続きを正確に進めるためにも、弁護士に依頼してサポートを受けるのがよいでしょう。
5.「放棄」と「遺産分割」は別の話です
よく混同されるのが、「相続放棄」と「遺産分割」です。
相続放棄:最初から相続人でなかったことにする手続き
遺産分割:複数の相続人が、財産をどう分けるか決める手続き
つまり、「放棄」は“相続関係そのものを断つこと”であり、「分割」は“取り分を決めること”です。
相続財産に負債が含まれる場合は、まず相続放棄を検討し、相続放棄しないと判断してから分割協議に入るかどうかを決めるのが安全です。
ところがこの遺産分割と相続放棄の違いを判らない方がたくさんいらっしゃいます。
相続放棄は手続きにのっとって死後3か月以内に行う必要があります。
遺産分割協議において自分の相続分をなしにすることは、相続放棄ではありません。自己の相続分をゼロにする遺産分割をしただけです。
手続きを正確にすすめるだけでなく、タイムリミットがあることなので、お早めにご相談に来ていただく必要があります。
6.まとめ:迷ったら、早めに専門家へ
相続放棄をするかどうかは、「財産の全体像」「債務の内容」「時効の有無」を正確に把握して判断する必要があります。
特に、相続人が複数いる場合や、事業に関係する債務がある場合は注意が必要です。
「この借金は払うべき?」「時効かもしれないけど不安…」
当事務所では、相続放棄のサポート(手続代行)は10万円(+税)で承っております(1人目の場合。2人目からは5万円+税)
相続を放棄する・しないを含め、お早めに弁護士にご相談いただければと思います。


