認知症になったときに、あなたの人生を守ってくれるのは?
任意後見人とは
後見人制度という制度をお聞きになったことはあるでしょうか?
この(成年)後見人制度というのは、本人の判断能力が低下した段階で家庭裁判所への申立てを行い、家庭裁判所が選任した後見人が本人に代わって本人の法律行為を行うものです。
ただ、すでにその時にはご本人が認知症になっているなど、ご本人とのコミュニケーションが取れないために、ご本人の意思を十分に反映することはできないものです。
後見人としては、本人の意思をなるべく尊重するようにしたいと思っても、限界があります。
そうならないように、ご本人の判断能力が残っている段階であらかじめ、こうしてほしいという内容を契約として明確にしておこうというのが、任意後見人制度です。
なぜ、任意後見人が必要なのか?
認知症などの事前対策の有力な一つの方法が任意後見制度です。
人生100年時代。
たとえあなたが認知症になったとしても、あなたの人生を最期までコントロールしたいというお気持ちはありませんか?
いまはお気に入りのお部屋に住んでいるけど、あなたが認知症になった場合には成年後見人があなたにかわってそのマンションの退去・解約を進めるかもしれません。
成年後見人には、その権限があります(ただし、居住用不動産処分として裁判所の許可が必要で好き勝手に解約できるわけではありません。)
あるいは、あなたが温泉が趣味で、温泉に行くための費用は自由に使いたいのに、成年後見人が温泉は贅沢だと言ってお金を出してくれないかもしれません(もちろん、ない袖は振れませんから、財産が潤沢にある場合に限られます。)。
それで、あなたは満足でしょうか?
後見人制度を利用となると、もはやあなたの意思が必ず反映されるとは限りません。
認知症となっても、あなたの人生です。
あなたの人生をあなたの意思でコントロールしたいのであれば、任意後見人を選任しておくことが有効です。
また、認知になったら、その後、家族に迷惑をかけたくないといった想いがある方も多いのではないでしょうか。
たとえば、あなたが認知症になってしまった場合、もはやあなたの銀行口座の預貯金はご家族のだれもが引き出せなくなります。
そうなると、施設への入居金をどう拠出していくのでしょう。
また、現在支払っている保険は、どうするのか。
これらを事前に任意後見人を選任してその任意後見人と相談をしておくことで、
あなたの意思を反映した後見業務を遂行することができます。
普段から、こういったことを細かく信頼できるご家族とコミュニケーションできていてる場合には問題はないでしょう。
しかし、このようなコミュニケーションができていない場合には、事前の対策が必要になってきます。
何を基準に任意後見人を選任すればいいか
まず、任意後見人制度は、あなたの意思で最期まであなたの人生をコントロールしたいという強い想いがある人のための制度です。
あなたと濃いコミュニケーションができる人がベストでしょう。一般的には親族がなることが多いようです。
任意後見人の権限については、個別に契約で設定することができます。
例えば、夫婦で温泉に行くための費用は制限せずに出してくださいとか、同居している家族のために月額○○円は渡してあげてくださいとか、そういう柔軟な対応が可能です。
任意後見人選任のデメリット
他方で、任意後見人制度では、任意後見人をしっかり監督すると言う観点から、任意後見監督人の選任が必須になってきます(任意後見契約に関する法律2条1号)。
誰を選任するかは裁判所の判断です。
そうなると、ここで厄介なのが、月額の報酬が発生してしまうのです
任意後見人にあなたの意思で弁護士を選任した場合、任意後見監督人と合わせて二重の報酬が発生してしまうことになります。
ここが最大のデメリットとは言われています。
任意後見人の選任をおススメするのはこんな人
ただ、これをデメリットとするかどうか、です。
あなたの意思で任意後見人を選任しないと、認知になった時に、結局法定後見人が選任され、あなたの意思であなたの残りの人生をコントロールすることは出来なくなるかもしれません。
少し違うたとえにはなりますが、保険診療と自由診療と同じように柔軟なことができるかどうかという違いがありますね。
あなたがご自身の意思を最期まで貫きたいという強い想いがあるのであれば、
自由診療を、すなわち、任意後見人を選任されてみてはいかがでしょうか?
漫画のブラックジャック先生のような(高額な)報酬と引き換えに、
とは言いません。
最期まであなたの人生をコントロールしたいというあなたは、どうぞ、お問い合わせくださいませ。