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片山法律事務所

借金問題のご相談Dept Problem

破産を考える前に

Bankruptcy

片山智宏

片山法律事務所

弁護士 片山 智宏

破産までにできること。

中小企業・自営業者にとって、資金繰りが行き詰まれば、最終的には破産を選択せざるをえません。
しかし、破産すると金融機関、従業員、取引先、地域経済その他に少なからぬ打撃となります。避けられるのであれば破産は避ける必要があり、打てる手は打ちましょう。

メインバンクとの関係を良好に保つ

まずは、出ていくお金を減らすために、経費節減を図ります。固定費の中で最も大きなものは、たいてい人件費です。従業員の人件費が重荷になっていれば、休業させて雇用調整助成金を申請するという手もあります。リストラは、いわゆる整理解雇の4要件(実質的には倒産寸前のレベル)が必要ですので、そう簡単ではありません。
公租公課の支払猶予制度など、使える制度は調べて使いましょう。一番大事なのは、いつでも相談できる関係をメインバンクと築いておくことです。常日頃から金融機関の担当者との関係を良好に保ち、適切な金額の融資を受けつつ、返済計画通りの返済実績を積み重ね、決算書類を毎年開示し、適時に事業計画を作成して提出するなど、金融機関の自社に対する信用を積み重ねていきましょう。そうしておけば、新たな融資が通りやすくなりますし、リスケジュールにも応じてもらいやすくなります。

使える制度は使う

今回の新型コロナウィルスの騒動については、運転資金について、政府が特別な制度を準備していますので、これを利用することが考えられます。信用保証協会の保証を利用した民間金融機関による融資、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫といった政府系金融機関による融資を受けることが考えられます。そのほか、都道府県、市区町村といった公共団体による融資制度、商工会議所のマル経融資などもあります。使える制度は使いましょう。

事業再生

借り入れたお金の返済ができず、なおも会社を存続させようとするには、債務のリスケジュールや一部カットとを目指して、いわゆる事業再生を図ります。方法としては、中小企業再生支援協議会を使う方法、特定調停を利用する方法、民事再生を利用する方法が考えられます。

廃 業

使える制度を使って運転資金を借金でつなぎ、その後の反動消費を考慮しても債務の返済計画が立たず、事業再生もできず、運転資金が回らないことが明らかであれば、残念ながら傷口が浅い内に廃業を考えざるを得ません。経営者の心が折れてしまい、やる気が出なくなった時も同様です。

弁護士 片山智宏

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廃業・店じまい

Out of Business

廃業を弁護士に依頼するメリット。

会社の財務状況が悪化してから会社財産を贈与したり、一部の債権者のみに弁済したりすれば(偏波弁済)、破産手続において否認されます。また、全部の債務を返済できない場合に、返済の順序を間違えると弁済を否認されることにもなります。そうなると、なけなしのお金をさらに作らなければなりません。

弁護士は、破産管財人として、日常的に否認されそうな行為に注意を払っています。怪しいコンサルタントの自称専門家は、平気で否認される行為を提案することもありますが、損をするのは自称専門家ではなく、経営者自身です。
弁護士であれば、任意整理交渉が途中で頓挫した場合、速やかに破産手続に移行させることができます。そこで、任意整理交渉においても、「この案をのまなければ破産しますよ。破産したら配当は○円くらいですが、この案に応じてくれれば×円返済できますよ。」という押し方が可能です。

いつ廃業をするか

中小企業の経営者は、えてして頑張りすぎて手持資金が空になるまで営業を続けてしまいがちです。そうなると破産もできず、夜逃げ同然に会社をたたむことになり、取引先にも従業員にも多大な影響を与えることになります。
タイミングを間違えなければ、取引先に再雇用してもらうことも選択肢に入ってきます。廃業するにしても、事業承継するにしても、手遅れになる前に実行しなければなりません。

債務超過ではない場合の廃業

会社の保有するすべての財産をすべてお金に換えれば、会社のすべての債務を返済してもあまりがある場合のことです。通常、我々が廃業と言う場合には、この類型を指します。債務超過ではないが、資金繰りに行き詰まった場合もこれに含まれます。
この場合には、効率よく会社の保有する財産を処分し、そのお金で順次取引や銀行の債務を返済していけば足ります。
あとは、行政庁の許認可や、社会保険・厚生年金の関係で廃業届を出し、会社の清算登記を済ませることになります。
今まで人生をかけて切り盛りしてきた会社を切り売りするのは、さぞ辛いことと想像できます。弁護士など専門家に依頼された方が、その点割り切って進めることができますし、破産管財人の経験が生きる分野ですので、弁護士に依頼されることも検討してみてください。
当事務所で廃業のご依頼を受ける場合には、代理人として、債権者先との交渉をし、財産を処分しつつ、許認可や年金、登記はそれぞれ行政書士、社会保険労務士又は司法書士と連携しながら行いますので、個別に専門家を探す手間を省くことができます。

債務超過の場合の廃業

  1. 債務超過が小さい場合

    いわゆる債務整理(任意整理)を行います(ADR、特定調停もあります)。会社財産を処分して金銭化する一方で、債権者と交渉し、債権者の同意を得て債権カット又は返済スケジュールの変更(リスケ)をとりつけていきます。債権カットを伴わない場合には、債権者も合意してくれることが多いかもしれません。こうした債務整理では、弁護士は、代理人として債権者と交渉することになります。

  2. 債務超過が大きい場合

    もはや交渉で債権者が債権カットに応じてくれる可能性は、まずありません。
    こうなっては、破産や民事再生といった法的整理手続をとることになります(会社更生手続もありますが割愛します。)

破産は、裁判所によって選任された破産管財人(弁護士)が、会社の財産をすべて処分してできた財産を、法律に定められた順位に基づいて、債務に支払っていく手続です。破産手続の終了により、会社はすべて消滅します。
民事再生は、債務の大半を免除してもらった上で、免除されなかった債務を3年から5年かけて支払っていく手続です。個人事業者の場合は、住宅資金条項を利用することで自宅不動産だけは手放さないことができる場合があります。

自己破産

Personal Bunkruptcy

自己破産に至るまで。

自己破産(個人の破産、個人事業主の破産)で検討すべきは、本当に生活費をぎりぎりまで減らしているのか、無駄な支出はないか検討し、借金を返すことができるのであれば返さなければならないことは言うまでもありません。
しかし、「借りたものは返さなければならない。」と無理をして返済を続けていると、それほどたたないうちに、他の金融機関から借りては返すという自転車操業状態に陥ります(これを「多重債務」といいます。)。
一度こうなってしまえば、自然に自転車操業状態を抜け出すことはできません。やがてヤミ金に手を出し、激しい取り立てにあって夜逃げや自殺といった悲惨な事態を招くことさえあります。合法的に自転車操業状態から脱するために、破産・免責という制度があります。

免責

  1. 免責とは

    破産をする目的は借金から解放ですから、免責が得られなければ、個人が自己破産するメリットはほとんどありません。通常、破産申立と同時に免責許可申立てをします。免責許可決定がなされると、債務を支払う義務を免れます

  2. 免責されない場合/非免責債権

    ・破産法252条不許可事由にあたる場合
    ・税金などの破産法253条非免責債権

破産に伴う制限

破産をためらう相談者の方が一番ひっかかるのが破産に伴ってどのような不利益を被るか心配だというところのようです。
破産に伴う不利益は、資格制限と事実上の不利益に大別できます。
法律上の資格制限には、我々弁護士や税理士など、いわゆる「士業」と言われる国家資格において、破産者でないことが要件とされています。また、個別の業法において制限されるものの代表は、警備員や保険の外交員などです。
我々士業は他人の財産に関する仕事をするため、破産するような者には適性がないという法の趣旨はよく分かりますし、他人のお金を触る機会のある警備員や保険の外交員が破産するほどお金に困っていれば、いつ横領するか分からないので危険だというのも理解しやすいところでしょう。法律ではなくても、就業規則等により社内的に規制をかけている会社もあります。ですが、こうした規制のない通常のサラリーマンやパート、アルバイトをするには、破産しても何ら影響はありません。

他には、財産を身ぐるみはがされるとか、戸籍に記載されて一生消えないなどとデマが流れていた時代もあったようですが、嘘です。
財産は、下関の裁判所の運用では20万円までの預貯金は手元に当然残りますし、差押禁止財産(生活必需品、年金など。)は破産しても失われません。破産管財人が付された場合には、99万円までは自由財産許可申立という制度を使って手元に残すことができる制度があります。また、戸籍には破産しても記載されません。官報には掲載されますが、官報を隅から隅まで熟読する暇な人はいません。

事実上の不利益としては、ブラックリストに乗り7年程度は新たな借り入れができなくなると言われていますが、破産するような時には既に何か月も支払いが遅れているか、少なくともそうなることは間近の状態です。ブラックリストには既に載っているか、載るまであとわずかなので、いまさら破産によってさらに不利益にはなるとは想定できません。
自宅不動産を失ったり、連帯保証人に請求がいったりということもデメリットと言われることがありますが、債務を支払えない以上、遠からず抵当権が実行されたり、債権者から差押がなされたり、連帯保証人に請求が行きます。ですので、それ以上悪くはならないと言う意味で破産のデメリットとは言えないでしょう。

結局、資格制限を除いては、破産の最大の障害は、「破産したくない!」という債務者の方の心理的障害といえます。もちろん、破産せずに少しずつでも分割支払っていくことができればそれに超したことはありません。しかし、無理をして体を壊すようなことがあっては元も子もありません。破産することに不安がある場合には、どのような点が不安なのか、不安を解消できるまで弁護士に相談されてみることをおすすめします。

法人の破産

Business Bunkruptcy

法人破産に至るまで。

法人が破産しようとする場合、おおよそ次のような経過をたどるのではないでしょうか。

  • STEP.01財務内容の悪化

    ビジネスチャンスがあると見込んで創業し、あるいは先代から会社を承継し、一時期は順調に経営してきたところ、売上の不振など原因はいろいろあると思いますが、財務内容が悪化し、資金繰りに不安を覚えるようになります。
    令和2年の新型コロナウィルス騒動のように突発的な事情により急速に悪化する場合もあるでしょうし、年々売上が減少する場合もあるでしょう。売上は上がっていても、販促費や売上原価がかさむなどして利益率が下がってしまい、手元資金が底をつくということもあるかもしれません。未回収の売掛金が大量に残れば、いわゆる黒字倒産ということもありえます。

  • STEP.02早期事業再生を探る

    余力のあるうちは、税理士や中小企業診断士と連携して経営計画を作成し、取引先の金融機関に追加融資やリスケジュールを申入れて交渉し、資金繰りの悪化に対応することになります。
    都道府県に設置されている中小企業再生支援協議会による事業再生もありますし、認定支援機関による事業計画作成援助といった制度もあります。これらの制度を利用すると、金融機関も協議に応じやすくなります。なお、当事務所でも認定支援機関の認定を受けておりますので、ご相談をお受けすることができます。

  • STEP.03弁護士への相談

    経営者としては、「そろそろ資金繰りが危ないから廃業しようかな?」と思っても、従業員や取引先にのことを考えると、そう簡単にはできません。経費削減をしたり、従業員をリストラするのもこの時期です。えてして、経費削減に伴って従業員のやる気がなくなり、顧客サービスの質が低下して、ますます売上が下がるという負のスパイラルに陥る例をしばしば目にします。
    いろいろ策を弄して資金繰りをつないできましたが、しばらくすると、いよいよ来月の手形が落ちないとか、来月末の借入金の返済ができない、という切羽詰まった状態になり、「破産」という言葉が頭をよぎり、弁護士に相談をします。
    弁護士としては、民事再生、任意整理といった事業再生をまずは考慮しますが、残念ながら下関のような地方都市では事業再生する余力のある会社がほとんどありません。「もっと早く相談に来てくれれば破産以外の方法もあったのに。」と悔しい思いをすることも少なくありません。結局、破産を選択せざるをえないことがほとんどです。

  • STEP.04決意から破産まで

    法人破産をするには、必要な書類を取りそろえて、地方裁判所に破産の申立てをしなければなりません。法人破産では、申立てをしたその日のうちに破産手続開始決定がなされることが多くあります。
    さて、必要な書類を取りそろえると言っても、簡単ではありません。会社が保有する資産を洗い出して財産目録にまとめたり、過去3年分の会計書類をとりまとめたり、債務の現在額を確定したり、破産することの取締役会決議をしたり、いろいろな準備が必要です。破産を対外的に公表すれば取り付け騒ぎが起きるなどして混乱が生じ財産の散逸などが起きますので、秘密の内に準備しなければなりません。秘密にするということは、対外的には通常の営業を続けるということです。
    他方で、法人は、破産により法人格を喪失し、裁判所により選任された破産管財人の管理下に入ります。破産管財人は、破産法上、否認権という強力な権限を有しています。否認権とは、大まかに言うと、破産者の行為をなかったことにできる権限です。

    破産することを決めたのに通常の営業を続けているので、通常の営業ですから、借入金の返済をしたり、買掛が発生して新たな債務を負担したりすることがあります。破産することを分かっていて借入れしたり買掛を発生させて、その債務を破産して踏み倒すことは、詐欺という犯罪行為です。債務の返済も、後から破産管財人に否認されてしまうと、取引先にも迷惑がかかりますから、否認されるような行為を避けなければなりません。どの債務を支払ってよくて、どの債務は支払ってはいけないか、どの行為をしてよくてどの行為をしてはいけないかを日々大量に判断しなければならないわけです。これは、破産法上の優先順位を考えなければならないので、逐一弁護士に相談して判断を仰がなければなりません。

    また、法人破産の場合には、必ず裁判所から予納金というお金を用意することを求められます。下関では、40万円からとなっています。破産管財人の報酬に充当することを想定するもので、予想される業務量に応じて増額されます。会社によっては何百万というレベルになることもあり、それだけの現金を保有していれば破産を考えていないでしょうから、手元に現金はありません。その状態で予納金を作出するには、会社の財産を切り売りしたり、債権を回収したりすることになります。しかし、これも否認権行使の対象とならないよう、破産法が予定する順番への配慮が不可欠となります。
    こうして、破産法の規定に反しないよう配慮しつつ通常の営業を続けながら、弁護士から指示される必要書類をそろえます。

  • STEP.05破産手続
    開始決定申立て

    必要な書類がそろい、予納金の準備ができたら、弁護士が裁判所に破産手続開始決定申立書を提出します。朝一番に提出して、その日の午前中のうちに開始決定がでることもあります。
    破産手続が開始してからは、手続の主役は破産管財人に移ります。代表者としては、破産管財人からの質問に誠意をもって回答し、破産管財人の要求に真摯に対応しなければなりません。この段階になると、積極的に何かをすることはなく、受け身の存在になります。

  • STEP.06代表者の破産

    現在の取引慣行では、会社代表者は、会社が金融機関から借入をする際に、個人保証をさせられます。代表者の保証には功罪ありますが、現実として下関のような地方都市では代表者保証なしで借入をすることはほぼみかけません。
    そのため、会社が破産することにより、当然に保証人に請求が来るため、代表者も連鎖的に破産せざるをえないことがほとんどです。場合によっては、経営者保証ガイドラインを利用することにより、破産を回避できる可能性はあります。ただし、金融機関以外の借入がある場合など、ガイドラインがうまくあてはまらないことも少なくなく、通常は破産を選択します。
    代表者の破産の場合、ほとんどのケースで裁判所から予納金として40万円以上の拠出を求められます。注意しなければならないのは、この40万円は会社財産から支出してはならないということです。会社から支出すれば、後で会社の破産管財人から返還を求められるでしょう。

なぜ破産の時には弁護士に相談をする必要があるのか?

このような混乱状況の中に合って、現場ではどんな行為が犯罪行為にあたるのか、どんな行為が否認されるのか、難しい判断を迫られることになります。とくに、よくある事例でチェックされるのは、財産隠しがないか、一部債権者のみが他の債務者の犠牲の下に回収していないか、という点です。
典型例として、 ①贈与 があります。さすがに贈与ではあからさますぎるとして、売買契約がなされることもありますが、対価が不当な場合、 ②廉価売却 になります。一部債権者のみへの弁済は、 ③偏頗弁済 となります。
具体的にどの行為がどれにあたるか、そのときはどうすればよいかなど、法人破産の現場では難しい判断を迫られます。できる限り早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

費用についてのご案内

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弁護士に頼みたいが、費用がどのくらいかかるか分からないので不安だ、という声をよく聞きます。弁護士会には弁護士の費用についての規程があるのですが、一般の方にはなかなか馴染みにくい様です。費用についてこちらでご案内しています。